お知らせ

2025/11/25 14:49

「Dress, Dressed, Dressing.」展開催のお知らせ

「Dress, Dressed, Dressing.」展開催のお知らせ

2025年12月16日(火)~12月27日(火)まで、田辺美那子とゆい・ユイ・YUI・結彩による二人展「Dress, Dressed, Dressing.」を開催いたします。

サシの入った和牛の肉柄が油絵の具で描かれたキャンバスを生地に見立て、手作業で仕立て上げられたドレスを展示いたします。わざわざ数十時間もかけて肉柄を描くことも、それを使って着心地の悪いドレスを作るということも、一見すると非常に滑稽に映りますが、滑稽とは真剣と表裏一体の単語のようにも感じます。会場では、肉のドレスの他、田辺美那子の絵画作品や、ゆい・ユイ・YUI・結彩のドレス作品もご覧いただけます。”滑稽”や”真剣”といったキーワードとともに、服飾や絵画を通して表現される空間をお楽しみください。

 

【イベント】

フレグランスワークショップ by dotten

Date:12.19(fri.),20(sat.),21(sun.) 12:00-19:30

「Dress,Dressed,Dressing」展期間中に、フレグランスブランド【dotten(ドットテン)】によるワークショップを開催いたします。【dotten】は、”our practices through fragrance" を軸に、言葉のように香りを紡ぐ活動をしています。講師によるカウンセリングを受けながら、お好みの香りをご自身で作り上げるワークショップです。纏うことに関する本展に際して、香りを纏うことについて考えるきっかけとなれば幸いです。事前にご予約をされる方は、タナベ画廊のInstagram DMまたはメールまでご連絡ください。空き枠がある場合は当日参加も大歓迎です。ぜひご参加くださいませ。

 

【ステートメント】

サラダに使うドレッシングの語源は、パーティーで着るドレスと同じで、野菜たちが美しく美味しく「着飾る」ことから来ているそうだ。素敵。そう思うと、野菜だけでなく、白身魚のソテーに添えられるソースや和牛のステーキの塩胡椒でさえも、食材のおいしさを引き立てるドレスと言えそうだ。そのドレスを、和牛のサシがいっぱいに入った総柄のキャンバス生地で作った。本来であれば、塩コショウやソースなどでdressedされるべき肉が、逆にdressingとなっているわけである。だから何なのかと言われるとそれまでなのだが、1.5×6メートル超のロールキャンバスに数十時間以上かけてひたすら和牛のサシを描き続け、それをドレスに仕立て上げるなど(着心地は悪いだろうし)滑稽極まりない。

使い古された表現になってしまうが、世の中の人をざっくり二つに分けるとき、ファッションが好きで楽しんでいる人とファッションには興味がない人に分けられると思う。私は圧倒的に前者で、大学生時代にファッションの楽しさに目覚め、ファッションの楽しさを世の中に広める仕事がしたいと思い、都内の百貨店に就職した。かつては理系の院生だったので、朝から晩まで研究室に缶詰になって研究する毎日だったのだが、研究以外に特になんの予定のない日でもお気に入りの服を着るだけで一日頑張ろうと思えたのだ。大事な発表のある日は勝負服を着込んで気持ちを引き締め、服からエネルギーをもらっていた。新しく買った服に袖を通す時は気分が上がるし、うまくコーディネートが組めた時は各段に嬉しい。そういう人間からすると、ファッションに興味のない人の気持ちがわからない。どうせ毎日着るのだから、ファッションを楽しんだ方が毎日楽しくなるのにと思う。しかし逆の立場からすると、服など着なければいけないから着ているだけで、平日はとりあえずスーツを着るし、休日だって天候に合った少しの機能性がある服さえあればいいのに、そこに付加価値を見出し、不必要に着飾り、朝の時間のない時にコーディネートに頭を悩ませ、クローゼットにはたくさんの服が詰まっているのに着るものがないと喚く様子は滑稽に映るだろう。つまり、無駄なものや過剰なものは滑稽な肉ドレスなのだ。でも、生活に彩りを与えるのはそういった滑稽なものたちなのだとも思っているし、滑稽ささえも愛してファッションを心から楽しみたいと思う。

田辺美那子

 

ファッションとは、ある種の滑稽さを抱きしめる行為だと思う。着心地を求める服を、重く硬いキャンバス地で仕立てているこの肉ドレス、明らかに不合理で着ることを拒むような存在だ。でもその不合理さの中に、私たちの愛がある。それは“着るため”ではなく、“愛するため”の行為だ。

人間誰しもが持っている合理では測れない無駄な思いを、美しいと信じ、形にしていく。滑稽なほど真剣に“美しい”を追い、己の中にある滑稽を受け入れる。美しさは、無駄の中にあるからこそ、心を動かすのだと思う。

ゆい・ユイ・YUI・結彩

 

【プロフィール】

田辺美那子

1994年東京生まれ。慶應義塾大学大学院薬学研究科修了。学生時代は美術部に所属。大学・大学院では胎盤における薬物動態について研究。卒業後は都内百貨店に就職し、子供服や婦人服のバイイング等を担当。退職後、タナベ画廊を開業。身の回りにある当たり前のようで実は滑稽なこと、違和感を覚えることを絵画やコラージュなどを通して表現している。

 

名前 ゆい・ユイ・YUI・結彩

女子美術大学ファッションテキスタイル学科在籍。中学時代から同校で学び、ファッションとアートを行き来しながら自分らしい表現を育てた。現在は“表現を通してワクワクする世界をつくること” を軸に、大阪・関西万博サステナブルファッションショーへの出展や、畳の縫い方・織物の研究、子ども向けワークショップなど、自由に活動の幅を広げている。

 

 

【開催概要】

・会期:2025年12月16日(火)~12月27日(火) 

    12:00~19:00 ※22日(月)・23日(火)休廊

・場所:タナベ画廊 東京都千代田区神田北乗物町1-1 イトーピア神田共同ビル1F