2025年11月25日(火)~12月6日(土)より、甲斐千香子個展「鏡の庭」を開催いたします。
甲斐千香子は、日常の風景や人々の営みに潜む「おかしさ」をテーマに日本画技法を用いながらアクリル絵具やキャンバスなど、ミクストメディアを取り入れた絵画を制作する画家。見慣れた物事や景色を自由に組み合わせ、独自の感性と視点で創造するその作品は”遊び絵”や”見立絵”の要素を持ち、様々なアートショーなどで高い評価を受けています。
本展で甲斐千香子がテーマとするのは、おそらくほとんどの人が毎日見ているであろう「鏡」。朝鏡の前で化粧をしたり髪を直したりする時には特に違和感を感じることもないのに、地下鉄の暗い窓ガラスに映った疲れた自分の顔を見てギョッとすることがある。自分が想定している(見ている)自分の顔と他者から見られている無意識の時の自分の顔の差異に驚いているということだ。この世に自分はただ一人しか存在していない固有のものだと思っていても、異なる時間や場所や状況といった様々な視点から見ると別のものが見えてくるという現象は、自分という存在の輪郭を曖昧にし、自分について改めて考えるきっかけを与えてくれる。
表現はもちろん作者の視点を反映したものだが、鑑賞者としてその表現を見るとき、必然的に自分というフィルターを通すことになるので、自分の目の前に現れるのは自分の写し鏡となる。甲斐千香子が私たちの目の前に出現させる鏡は、驚きやおかしさや戸惑いやときめきが映り込んだものとなるだろう。
【ステートメント】
毎日、鏡を持ち歩かなくても私たちの姿は街のあらゆる場所に映り込んでいる。
カーブミラー、ショーウィンドウ、監視カメラ――
意識しないうちに、私たちは常にどこかで「見る」と「見られる」の関係の中にいる。
日常は、無数の鏡の断片で溢れている。
それらは光と影、生と死、映るものと映されるものの境界でかすかに揺れながら、
多くの視点や感情を導き出す。
本展「鏡の庭」では、そうした断片の集積から生まれる風景を描く。
そこに映るものは、私たちが見過ごしてきた日常のなかの真実であり、
同時に、新しい視点への入口でもある。
甲斐千香子
1987年生 宮崎県出身 武蔵野美術大学造形学部 日本画コース 卒業
日常の風景や人々の営みに潜む「おかしさ」をテーマに日本画技法を用いながらアクリル絵具やキャンバスなど、ミクストメディアを取り入れた絵画を制作。見慣れた物事や景色を自由に組み合わせ、独自の感性と視点で創造するその作品は”遊び絵”や”見立絵”の要素を持ち、様々なアートショーなどで高い評価を受けている。
近年では「渋谷・宮下公園 アディダスブランドセンター」RAYARD MIYASHITA PARK 店舗内装への作画提供やNHK ドラマ10「大奥」福士蒼汰ほか衣装の絵付けを担当するなど多方面で活躍している。
【開催概要】
会期:2025年11月25日(火)~12月6日(土)
12:00~19:00
※日月休み
場所:タナベ画廊 東京都千代田区神田北乗物町1-1イトーピア神田共同ビル1F
【イベント】
11月28日(金)19~22時は、当日限定の「スナックちかこ」を開店いたします。ぜひお誘い合わせの上お越しくださいませ。

